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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第3章 消せない過去、喪われた想い
一息ついた龍青に悠は尋ねる
「先生は頭を打って若干だけど障害が残ってね。まあ和泉は被害者だったから表向きには糾弾されなかったけど……もう誰もあいつに近づこうとしなかったよ」
川本さん以外はね、と龍青は付け加えた
見たことがある
教室に入ろうとしては何度も諦めているところを。
それを追おうとする美和を振り切って、そしていつの間にかほとんど来なくなった
「皆酷いね」
悠はぽつりと言った
「凪くんは何したわけでもないのに」
「いや、でも感情任せに暴力奮ったらもうアウトでしょ。ある意味自業自得だよ」
「って態度を周りが取らなかったら凪くんは不良になったりしなかったかもしれないじゃん。それって安全圏からの勝手な言い分だよね」
龍青は唸ったが、なかなか認めようとしない
「和泉はもともと怒りっぽかったし……そのまま流されたのはあいつの自制心のなさにも問題あると思う」
「ふーん……。
ま、今は違うんだからもうどうでもいいじゃん? 美和ちゃんが傍にいるんだから大丈夫だって!」
そこがまた何となく気に入らない
龍青はそれきり何も言わなかった
「あ、ねぇあれ美和ちゃんじゃない?」