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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第4章 狂った歯車
‘何も覚えてないみたいなの……凪くんのこと’
「……くそっ」
小さな公園のベンチに座りながら凪は小さく悪態をついた
“こんなのありかよ……”
美和の家の近くまで来てはみたものの、真実を見るのが怖くて一歩も動けなくなってしまった
美和はすぐ傍にいるのに、この世からも、自分の中からもいなくなってはいないのに、彼女の世界に自分は存在しない
もう謝ることも愛を伝えることも叶わない
「……っ」
“ならこの胸の苦しさはどこにやればいい……!?”
凪は歪めた顔を片手で覆う
こんなに重い罰はないと−−−
「凪、くん……?」
自分を呼ぶ女の声に驚いて顔を上げると、そこには見覚えのある人物が立っていた
「お前は……」
“美和とよく一緒にいた……”
何故こんな所で美和に関係のある人間に会ってしまうのか
美和との繋がりを保っていたいと願いながら、もう忘れてしまいたいと想うのに−−−
「今美和ちゃんを送ってきた所なの。その……龍青くんと」
「…リュウか……」
ついこの前も聞いた名前だ
それを耳にする度に生々しい記憶が甦る