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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第5章 仮初め
そしてやってきた週末
それぞれが複雑な感情を抱きつつ、相手のもとへ向かった
「おはよー!」
朝からテンションの高い悠に寝不足の凪は顔をしかめる
当たり前だが楽しみでという訳ではない
事故以来ずっとほとんど眠れない上、昨晩は美和への後ろめたさが余計に募って苛々していた
「意外! もっと遅いと思ってた」
そんな凪の気持ちを知らないのかどうか、悠は楽しそうに笑っている
「あ、ごめん。失礼だったね……」
「……別に。さっさと行くぞ」
そう言うと一瞬躊躇ってから悠に手を差し出す
悠は驚いたが、凪が心変わりしないうちにとその手を取った
凪の手のひらが悠の手をそっと包む
さすがに指を絡めはしなかったが、それでも悠は幸せだった
大きな手から彼の体温が伝わってくる
二人の温もりが溶け合ってゆくように、この気持ちも一つになっていけたらと、思った−−−
だが実際、二人のテンションにはかなりの差があった
“恋人”である悠とのデートにまだ慣れない凪と、一生懸命盛り上げようとする悠
「ね、あれ乗ろ?」
「はい、コーラで良かった?」