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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第5章 仮初め
笑いかけてくる悠を見ていて、凪の心は反対に沈んでゆく
「次あれ乗らない?」
「勝手にしろ」
悠が楽しそうにジェットコースターを指差した時、ついに凪は言ってしまった
「あ……乗らない、よね……」
「ああ」
悠はすぐに笑顔を見せ、
「ごめん、お手洗い行ってくるね」
と離れて行った
笑ってはいたが、一瞬寂しげな表情が浮かんだのを凪は見落とさない
「ハァ……」
凪はため息をついてベンチに座った
“何やってんだ、俺……”
悠を傷つけたいわけではない
だがどうしても二人を重ね合わせてしまって、それに罪悪感を感じてしまう
悠を悠として見ようと、受け入れようとしているのに、そのことが余計に彼女に壁を作る結果になっていた
精一杯の優しさが、心のない“上辺だけ”のものだと悠も気付いている
美和を忘れようとするほど心を失う
それは凪がそれだけ彼女に心を奪われているということであり、悠を待つ今も凪は美和との思い出を廻らせていた−−−