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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第5章 仮初め
「陽菜乃ー、ちょっと買い物行ってきてー」
「えー、陸にぃに行かせてよー」
私はいつも行ってるんだから週末くらいゆっくりさせてよ、とぼやきつつ陽菜乃は腰を上げた
「一緒に行こうか」
同時に立ち上がって尋ねた陸に、
「うん、じゃあお願い」
と頷いて共に外に出た
「夜になると涼しいねー」
大きく息を吸って体を伸ばす
「……」
「陸にぃ?」
黙ったままの兄を振り返ると、階下を覗き込んで固まっていた
「あれ……美和ちゃんだよね?」
ようやく口を開いた陸につられて陽菜乃も下を見る
「ホントだ」
でも−−−
「北里先輩!?」
陸は思わず大声を出した陽菜乃の口を塞ぐ
幸い気付かれなかったようだ
二人が別れたのを見届けて陸は陽菜乃を放した
「な、なんであの二人が?」
困惑する妹に陸は肩を竦めて返す
「何かあったのかもね」
興味なさげに言ったものの、やはり少し引っ掛かるところはあった
‘あの二人は何があってもきっと大丈夫なんだろう’
以前確信を持ってそう思ったのだが−−−