この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第5章 仮初め
「私、陽菜乃ちゃんに聞いてくる!」
「こーらー」
例の如く先走ろうとする陽菜乃の腕を捉え、陸は首を横に振る
「人のことにやたら口出ししちゃだめだよ」
「でも……」
「第三者が入ると話が抉れるもとだ」
陽菜乃は納得しなかった
「…陸にぃは優しいけど冷たいよね……お兄ちゃんのこととか、気にならないの?」
「それは……」
ならないと言えば嘘になる
むしろ美和のあの様子だと凪の方が心配だ
「……ま、凪のとこならいいんじゃない? でも美和ちゃんは駄目だよ。どんなに仲良くても他人なんだから。
これで君の野次馬根性は満足するかな?」
「その言い方はないでしょ!」
もうっ、と陽菜乃は頬を膨らませる
「とにかく今は凪じゃなくてスーパーに行こう」
いつものようにのほほんと笑いかける陸に渋々頷き、陽菜乃は少しの間だけこの件を保留しておくことにしたーーー