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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第7章 合わないカケラ
もごもごと言葉を濁していたところへ、凪からの激しい怒声が浴びせられた
「ふざけんな! お前はそんなことにも責任持てねぇのかよ! 色々あったってなんだ!」
「ごめん……」
かつて谷田を守ったときのように、苛立ちではなく誰かの為の怒りから来る叱咤に龍青は電話越しに縮こまった
「……お前は俺よりマシだと思ってたのにな」
急に静かにそう言われて驚く龍青
「お前なら俺よりも美和のことがよく分かって大事に出来ると思った。だから一旦は手を引いたんだ!」
再び怒鳴り、
「それが出来ねーならもう美和には近付くな! 俺が捜す!」
そう言ってブツリと電話を切った
龍青は衝撃を受けて呆然としたまま携帯を下ろす
‘お前なら’
敗けた−−−
あいつは何よりも、自分よりも彼女を想っていた
ただ臆病だったんじゃない
彼女にとって最幸の選択をしようとしたんだ−−−
彼女が幸せなら身を引くと。
彼女を託すと。
僕のことを、信じていたのか
僕なんかのことを。
完敗だ−−−