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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第7章 合わないカケラ
しかしそう長いこと叫んでいられる程の体力はもう残っていなかった
脇腹の痛みに顔をしかめてすぐに凪は息を詰まらせる
“いっそこのままここで死んでもいいよな……”
なんて馬鹿な考えまで頭を過った
「うわー、情けないね。これがあの和泉くん?」
虚ろになりかけた凪の目の前に一人の人物が立ちはだかる
凪はぼうっとその陰を見上げて目を見開いた
「もり…つぐ……?」
プルル…
息を切らしながら、焦りと後悔の中で龍青は電話のコールを聞いていた
「……?」
電話が取られ、向こう側から戸惑ったような空気が流れてくる
「和泉か!?」
「リュウ……?」
正しい相手に繋がったことにほっとして龍青は一気にまくしたてる
「美和見てないか? 家にも帰ってないらしいんだ」
「……」
一瞬の沈黙が入り、どっちなんだと苛々する
「……お前、何で俺の番号知ってんだ」
「それは田島さんに……」
「で、お前は美和と一緒だったんじゃないのか?」
そう問われて龍青はうっと息を詰まらせる
「それは…色々あって別れて……そのあと謝ろうと思って後を追ったんだけど……」