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桜の季節が巡っても~追憶~
第54章 出発前の甘い夜1(再編済)
気持ち良さを超えた切なさに、強引に腰を押し付けてくる彼を縋るように見る。
ふたりの視線がぶつかり、数秒後。
ようやく自らを突き挿すそれが止まった。
「…せんか」
我に返ったかのように名を呟かれ。
脚を下す事も許され。
泉夏はようやく安堵する。
繋がった部分はそのままに、秀王は泉夏の身体を抱き寄せた。
少し前までの狂おしさとは裏腹の優しい抱擁に、泉夏は素直に身を預ける。
「乱暴にしてしまった。…大丈夫だった?」
そっと、頬を撫でられ。
いつも以上の気遣う眼差しに、泉夏は小さく頷いた。
心底ほっとしたように、秀王は彼女を抱く手に力を籠めた。
「…どうかしてた。ごめん」
恥じ入るような秀王の背に、泉夏は恐る恐る手を伸ばす。
「…私、何かしてしまった?」
不安気に訊いてくる泉夏に、曖昧に笑う。
逡巡の後《のち》。
秀王は彼女に告げる。
「泉夏はいつでも俺を誘ってくるけど…さっきのは刺激が強過ぎだ」
泉夏の目はこれ以上ないくらい、大きくなる。
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