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桜の季節が巡っても~追憶~
第55章 出発前の甘い夜2(再編中)
「心の片隅でも思ったら浮気だからね。離れてたって。隠したって。必ず分かるんだから。女の勘は鋭いんだから。そんな事ちょっとでも思ったら…電話も出ないし、メールも絶対返してあげない」
強がりながらも『そんな事』を想像すれば、馬鹿みたいに泣きそうになってしまう。
自分に縋ってくる泉夏を抱き止めながら、秀王はすぐに返事が出来ない。
実際口にしたら、きっと彼女は怒ってしまうだろうけど。
どうしたらそんな事を思い悩む必要があるのだろう。
もしも心の中が見えるのなら、そんなものは取り越し苦労だと一瞬で見抜けるのに。
他の誰を?
誰の入る余地もない。
彼女以外の誰も。
恥ずかしいくらい彼女でいっぱいだった。
「泉夏が心配している事は、この世で一番有り得ない。この世で一番思い煩《わずら》う必要のない事だ」
-時間の無駄だよ。
秀王は静かに笑った。
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