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桜の季節が巡っても~追憶~
第55章 出発前の甘い夜2(再編中)
もうこのまま、溶けてあなたとひとつになってしまいそう。
もうこのまま、蕩けてあなたとひとつになってしまいたい。
この広い世界でただひとりのあなたと出逢い。
あなたを愛し。
あなたに愛された。
姿をひと目見るだけで良かった。
声を聞くだけで酔い痴れた。
視線が繋がるだけで天にも昇るほどで。
指が掠めただけで全身の血液が沸騰しそうだった。
唇が初めて重なった日は喜びに震え。
身体が初めて繋がった夜は嬉しさに泣いた。
歓喜した思いは、今も少しも変わりなく。
何度口付けを交わしても。
素肌を合わせても。
切なくて。
切なくて。
堪らない。
この上なく幸せだと断言できるのに、まなじりに滲んでくる涙。
誤解させてしまう-繋がれた手を解《ほど》き、泉夏は起こしていた身体を前に倒した。
自分の上半身に倒れ込み、抱き付いてきた泉夏を、僅かな戸惑いと共に秀王は受け止める。
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