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桜の季節が巡っても~追憶~
第55章 出発前の甘い夜2(再編中)
「泉夏…?」
-どうしたの?
今の今まで妖女に相応しい腰つきと、扇情的な双眸で、自らを大きく翻弄していたのに。
その動きをいきなりやめてしまったかと思えば、縋るように密着してきた。
問いかけにも応じない彼女が次第に心配になり、秀王は身体を起こそうとする。
「…ゅう」
それを制したのは、他ならぬ彼女だった。
聞き違い?-待っていれば、もう一度彼女は紡いだ。
「秀」
面を上げた彼女の笑顔がすぐそこにあった。
その甘かな声音で名前を呼ばれ、彼も直に微笑んだ。
「痛くさせてなかった?疲れてない?」
-大丈夫?
気遣われ。
はにかみながら、泉夏は小さく頷く。
なら、良かった-自分を包む腕の温かさと、背中を優しく擦ってくれる手。
どんなに大事に。
どんなに大切にされているかを改めて感じ、どうにか我慢した涙がまた出そうになる。
そんな事態にならないように、あえて少し大きめの声量で、泉夏は謝罪を口にする。
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