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桜の季節が巡っても~追憶~
第57章 ふたりとも好き2(再編済)
「お前さ。有栖川先生に一度失恋した時、どうだった?長かった髪ばっさり切って、食事も喉を通らないほどに痩せてなかったっけ?」
「…それは」
「伊東君とデートして先生の事、忘れられた?」
「…」
「俺といて、あいつの事完全に忘れられたんだっけ?」
「…」
「無理だったから、今こういう状況になってるんだろ」
ひとことの反論も出来ない泉夏を笑い、龍貴は彼女を見据える。
「たったの数か月でなんとも想わなくなるなら苦労しない。そうじゃないくらいには好きだったから、すぐには忘れられない。…そんなの、お前が一番よく分かってると思ってたんだけどな」
頬にある彼の指先に、僅かな力が籠った。
泉夏の眉が顰《ひそ》められる。
「泣くか?」
「…泣かない。けど」
「けど?」
「…龍が意地悪だから」
-泣きそうにはなってる。
龍貴から視線を外さずに泉夏が告げれば、彼は喉を鳴らした。
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