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桜の季節が巡っても~追憶~
第58章 ふたりとも好き3(再編済)
大樹が困ってる隣りで、泉夏の思考は他にあった。
『バレンタイン』-そんな季節のイベント、今まで考えた事もなかった。
正しくは『考えたところでどうしようもなかったから、あえて考えずにいた』。
でも今年は『あげる相手』がいる。
ちょうどの日にちに、直接手渡しはきっと難しいけど-あげたら『嬉しい』って喜んでくれるかな。
早くもひとりあれこれ考え始め、ひどく楽しみになってきてしまう。
「でも、まあ。『義理じゃない』のを何個もらおうが、たったひとりからの一個ももらえないんじゃ大して意味ないけどな」
ふと漏らされた龍貴の呟きに、綻びかけてた泉夏の顔が締まる。
「え、気になるひとでもいるんですか?」
「正しくは『いた』かなあ」
「『いた』…過去形?」
「んー?シツレン、したから」
「ええ、失恋?龍貴さん振るって、どんだけいい女なんですか?」
ざわめきが広がってゆき、泉夏の胸がどくん、と波打つ。
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