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桜の季節が巡っても~追憶~
第59章 決断と独占の果て1(再編中)
目の前の扉をノックしようとして、思い止とどまる。
家を出る際、十分な時間をかけて身支度を整えてきた。
ホテルに入ってすぐ、一階のトイレでも入念に全身チェックをしたばかり。
待ちに待った瞬間まであと一歩-なのに、新たな不安が襲う。
エレベーターに乗ってここに来るまでに、前髪が乱れてしまってるかもしれない。
ファンデーション塗り直したのはいいけど、ムラになってないかちゃんと確認したっけ?
足元まで気が回っていなかった-靴、汚れてない?
ストッキング-伝線してないかな?
心配事が次々頭を過よぎり、すんなり入室する事を身体は拒絶する。
左右を見回せば幸いな事に、長い廊下を行き来する人間は見当たらない。
持参していたふたつのバッグ、予あらかじめ化粧室で脱いでいたコートを素早く、部屋の前に置く。
ハンドバッグを漁り、化粧ポーチから取り出したファンデーションケースを開いた。
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