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桜の季節が巡っても~追憶~
第2章 先生には秘密2
だからだよ-龍貴の双眸が細まった。
「好きな奴見ると、どきどきするじゃん。だからだよ、今日俺を見ては、馬鹿みたいに心臓が落ち着かないのは」
泉夏の顔が、赤く、熟してゆく。
「大好きな、こんないい男とこれからデートするんだから、更にどきどきして当然だ」
言って、龍貴は左手で、泉夏の頭を少しだけ乱暴に撫でた。
くしゃくしゃに乱れる、髪の毛。
赤く染まった両頬、潤んだ瞳。
手櫛で髪を戻しながら、泉夏は笑った。
「デートしてくれるこんないい男がふたりもいて、私ってば、両手に花だね」
「全くだ」
龍貴は肩を揺らした。
そして、付け足す-贅沢過ぎる女だよ、と。
青信号になり、アウディは流れるように走り出す。
「でもそんなお前がふたりとも大好きだから、仕方がない」
穏やかな龍貴の横顔に、泉夏は滲む涙をそっと、押さえた。





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