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桜の季節が巡っても~追憶~
第19章 日曜日の朝2
兄が起きたら、大仰にお礼を述べてから家を出ようと思っていたのだが、遂に起きてリビングに現れる事はなかった。
平日・休日問わず、大抵いつも同じ時間に起床する兄なのだが。
仕事に疲れ、まだ熟睡しているのか。
はたまた、自分が出掛けるまで、部屋に籠っている作戦だったのか。
多分、後者のような気もするのだが-先生との待ち合わせは九時にしていたので、そろそろ家を出発しなければならず、兄の部屋の前で小声で『いってきます』を告げ、家を出て来た。
一歩玄関を出てしまえば、もう感情を押し殺す必要はない。
今日こそ本当に、先生とずっと一日、一緒にいられる-思うと。
嬉しくて、嬉しくて、堪らない。
顔が緩んでしまうのも、仕方がない。
笑うなと言う方が絶対無理だ。
最高潮に気分良く、顔を綻ばせながら、駅に向かって足早に進む。
彼女の甘い空気を壊しかねない匂いが漂ってきたのは、その時だった。
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