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桜の季節が巡っても~追憶~
第26章 出発前の甘い夜2
きっぱりと告げられて。
泉夏は恥ずかしくて-嬉しくって、しょうがなかった。
でもそんな顔をやっぱり見られたくなくって、ただ彼の首筋に腕を回しているしかない。
自分を抱き返してくれる手。
自分を優しく撫でてくれる手。
安心して黙って身を委ねていると、呟きが聞こえた。
「…そんな事を言うのなら、俺の方が余程心配してる」
「しんぱい…?」
「泉夏の事は信じているけど。でも…ほんの一瞬でも、泉夏の心の中に誰かが入り込んでしまわないだろうかって。俺がいない間に、もしもそんな事があったら-」
-嫌だなって。
ついさっきまでの自分と同じ事を言う秀王を、泉夏は急いで見た。
「しないよ、そんなの。決まってるじゃない」
「うん。不安な自分の心が惑わせてるだけだって、よく分かってる。分かってて…いもしない誰かに嫉妬してしまう。くだらないのは重々承知の上で」
繋がる彼の双眸が、細められた。
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