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桜の季節が巡っても~追憶~
第29章 ふたりとも好き3
メニューを開いてみせたり、飲み物の注文の為に呼び出しベルを押したり、テーブルの上に並んだ料理を取り分けたり-とにかく甲斐甲斐しく彼に尽くす麻衣に、泉夏は舌を巻く。
冗談抜きに凄く会いたかったんだな-泉夏は素直に感心してしまう。
サラダをよそう親友を横目にしていると、右隣りに腰を落ち着かせた龍貴が声をかけてきた。
「盛り上がってたか?」
龍貴の問いに泉夏は彼を軽く一瞥し、溜め息と共に答えた。
「麻衣以外はね」
「何、その意味あり気な言い方」
質問を受け、泉夏は再度重い息を吐いた。
「さっきから口を開けば『お兄さん、お兄さん』って」
「俺待ちだったわけだ」
龍貴は愉快そうだったが、泉夏は大しておかしくない。
「俺待ちどころの話じゃないし。『まだかなあ』『遅いなあ』挙句の果てには『帰りに介抱-』」
そこまで言いかけ、泉夏は慌てて口を噤む。
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