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桜の季節が巡っても~追憶~
第29章 ふたりとも好き3
「カイホウ?」
訝しげな龍貴の視線に、ぶんぶんと首を振る。
「な、なんでも…!」
-ない。
短く言い切り。
グラスに唇をつけた泉夏に、龍貴は眉を顰(しか)めた。
到底『なんでもない』風には全く見えない。
「は?なに?」
そんな泉夏に、龍貴はぎりぎりまで顔を寄せた。
「まさかもう酔っぱらってるんじゃないよな?」
誤魔化しの利かない両眼に縛られ、泉夏は身動き出来ない。
「まさか。まだ二杯目だよ?」
それでもどうにか返答し、近付く龍貴から逃れるように、泉夏はさり気に身体を後ろに引いた。
「ふーん?」
『酔ってない事』でなく。
『なんでもない事』を完璧信用などしていない疑いの目を、龍貴は泉夏に送ってくる。
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