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桜の季節が巡っても~追憶~
第41章 朝帰りの出来事3(再編済)
「…なんてな?」
青信号になり、静かに車を発進させた龍貴の顔が穏やかになった。
「有栖川先生、帰って来てるの?」
ほんの一瞬、返答に詰まってしまったが-やがて泉夏は正直に答える。
「…うん。昨日」
「良かったじゃん」
「…うん」
しかし、それ以上言葉は続かず、泉夏は口を噤んでしまう。
「何?」
急に勢いのなくなった泉夏の様子に、龍貴は苦笑する。
冷静になってよくよく考えてみれば、自分ってもの凄く失礼なのでは-その事実に泉夏は突き当たる。
先生に逢いに行くのに、選《よ》りにも選《よ》って、彼の車に乗せてもらっているだなんて。
『送る』-彼の好意に何も深く考えず、甘えてしまっていた。
ちょっと考えれば、すぐに分かる事だったのに。
今現在の彼の気持ちがどうなのか、それは正直分からない。
でも。
仮にもちょっと前まで自分を好きだと言ってくれていたひとを、自分が恋人の元に行く手段-言い方は悪いが、結果的に足として使っている。
自分がもの凄く、最低の人間に思えてくる-いや、最低だ。
青信号になり、静かに車を発進させた龍貴の顔が穏やかになった。
「有栖川先生、帰って来てるの?」
ほんの一瞬、返答に詰まってしまったが-やがて泉夏は正直に答える。
「…うん。昨日」
「良かったじゃん」
「…うん」
しかし、それ以上言葉は続かず、泉夏は口を噤んでしまう。
「何?」
急に勢いのなくなった泉夏の様子に、龍貴は苦笑する。
冷静になってよくよく考えてみれば、自分ってもの凄く失礼なのでは-その事実に泉夏は突き当たる。
先生に逢いに行くのに、選《よ》りにも選《よ》って、彼の車に乗せてもらっているだなんて。
『送る』-彼の好意に何も深く考えず、甘えてしまっていた。
ちょっと考えれば、すぐに分かる事だったのに。
今現在の彼の気持ちがどうなのか、それは正直分からない。
でも。
仮にもちょっと前まで自分を好きだと言ってくれていたひとを、自分が恋人の元に行く手段-言い方は悪いが、結果的に足として使っている。
自分がもの凄く、最低の人間に思えてくる-いや、最低だ。

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