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奥手なオークが貞操の危機!?
第1章 1
 オーク、それは醜怪にして暴虐の権化、そして精力絶倫の代名詞……時としてエルフ族を攫って性奴調教する極悪人であり、時として対峙した女勇者を組み敷いて孕ませっくすの餌食にする奸物である。
 体は見上げるほどに大きく、二足でありながら劣俗な獣を思わせる風体。
 そんな彼らとて生まれたときから性道を究めているわけではないし、もちろん筆下ろし前であれば『童貞』と呼ばれる、これはどこの世界においても代わることのない大原則である。
 さて、ここにいるオークの青年――名をベオという。一族の中でも特に醜く、口の両端に小さく生えた牙と大きくつぶれた鼻が猪を思わせる。
 ところが彼、そんな見た目に反する知性の持ち主で、国一番の難関といわれるレサーノ王立大学に入学を果たした。のみならず、理知をウリにするエルフ族よりも、天性の魔導を持つドルイドよりも好成績を納め、二年次にあがるころには学内位置の秀才として名が知られるようになった。
 そんな彼、早熟で十代の半ばまでに初体験を済ませるのが当たり前とされるオーク族の者でありながら、未だ童貞である。
 もっとも、普通のオークであればメスの体に向けられるはずの探究心が学問に傾けられてしまっている、それゆえに学力を手にすることができたのだから、当然といえば当然か。
 これは、そんなベオの受難の日々を描く物語である。
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