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奥手なオークが貞操の危機!?
第1章 1
「私たち2人を?」
「養う?」
「あ、バカ、顔見ないでって!」
土気色に近い緑の肌すら朱に染めて、彼は2人を再び腕の中に捉えようとした。
しかし、身体能力でオークに劣るところなどないエルフと女騎士、ひらりと彼の手をかわす。
「え、え? どういうことですの? 私は卒業とともに実家へ帰ることになってますわよ?」
「私もだ。卒業後に配属される隊が先日決まったそうだ」
「あのさあ……二人は俺が好きだとか思わないの? 俺は卒業までの暇つぶしに弄ぶだけの性豚?」
「そんなことはありませんわ。でも、私はエルフであるという定めからは逃れられない……」
「そういうことじゃないよ、聞きたいのは」
「わかってますわ。もちろん、大好きです。でも、この世には逃れられない運命というものがあって……」
「そんなもの、あるわけがないだろう。俺が愚鈍だといわれているオークでありながらもこの大学の首席を取っているんだぞ。絶対に逃れられない運命なんか、この世にはないよ」
この言葉に、アリシアは少し涙ぐんで黙り込む。アーニャの方はほとほと感心したようにため息をついて、ベオの片腕に体を預けた。
「かっこいい……そうか、私は運命から逃れる努力すらしていなかったな……」
「女騎士よりもなりたいものがあるだろう?」
「そうだな……ピンクの、フリフリがいっぱいついたドレスを着て、好きな人のお嫁さんに……って、おかしいかな?」
「いいや、ぜんぜん? だって、アーニャは小柄だから、花嫁衣装が映えると思うんだ」
「ふふっ、じゃあ、運命に抗ってみるかな」
ベオは、空いた方の腕をアリシアに向けて広げてみせる。
「お前は? 何もしないまま、エルフとしての運命を受け入れて、二度と俺たちとも会えないような隠れ里に引きこもるつもりか?」
アリシアが顔を上げる。涙を振り払うように、キッと。
「私も、運命に抗ってみせますわ! だから……」
勢いよくベオの腕に飛び込んで、アリシアは小さな声で囁いた。
「お嫁に……もらわれてあげてもいいわ」
ベオが笑う。
「なんで上からの物言いなんだよ」
「エルフだから、オークよりもプライドが高いの! そこは運命じゃなくて性質だから、譲れないから!」
「はいはい。ありがたく嫁にもらうよ」
三人、幸せそうに身を寄せ合って……午後の図書室に差し込むやわらかな陽光が彼らの将来を祝福しているように優しかった。
「養う?」
「あ、バカ、顔見ないでって!」
土気色に近い緑の肌すら朱に染めて、彼は2人を再び腕の中に捉えようとした。
しかし、身体能力でオークに劣るところなどないエルフと女騎士、ひらりと彼の手をかわす。
「え、え? どういうことですの? 私は卒業とともに実家へ帰ることになってますわよ?」
「私もだ。卒業後に配属される隊が先日決まったそうだ」
「あのさあ……二人は俺が好きだとか思わないの? 俺は卒業までの暇つぶしに弄ぶだけの性豚?」
「そんなことはありませんわ。でも、私はエルフであるという定めからは逃れられない……」
「そういうことじゃないよ、聞きたいのは」
「わかってますわ。もちろん、大好きです。でも、この世には逃れられない運命というものがあって……」
「そんなもの、あるわけがないだろう。俺が愚鈍だといわれているオークでありながらもこの大学の首席を取っているんだぞ。絶対に逃れられない運命なんか、この世にはないよ」
この言葉に、アリシアは少し涙ぐんで黙り込む。アーニャの方はほとほと感心したようにため息をついて、ベオの片腕に体を預けた。
「かっこいい……そうか、私は運命から逃れる努力すらしていなかったな……」
「女騎士よりもなりたいものがあるだろう?」
「そうだな……ピンクの、フリフリがいっぱいついたドレスを着て、好きな人のお嫁さんに……って、おかしいかな?」
「いいや、ぜんぜん? だって、アーニャは小柄だから、花嫁衣装が映えると思うんだ」
「ふふっ、じゃあ、運命に抗ってみるかな」
ベオは、空いた方の腕をアリシアに向けて広げてみせる。
「お前は? 何もしないまま、エルフとしての運命を受け入れて、二度と俺たちとも会えないような隠れ里に引きこもるつもりか?」
アリシアが顔を上げる。涙を振り払うように、キッと。
「私も、運命に抗ってみせますわ! だから……」
勢いよくベオの腕に飛び込んで、アリシアは小さな声で囁いた。
「お嫁に……もらわれてあげてもいいわ」
ベオが笑う。
「なんで上からの物言いなんだよ」
「エルフだから、オークよりもプライドが高いの! そこは運命じゃなくて性質だから、譲れないから!」
「はいはい。ありがたく嫁にもらうよ」
三人、幸せそうに身を寄せ合って……午後の図書室に差し込むやわらかな陽光が彼らの将来を祝福しているように優しかった。