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溺愛〜あたしだけの王子様〜
第2章 後編
『ここだわね』
あたしはクラス名簿を見ながら、
青く広い屋根の邸宅を確認した。
1人目。
箭内杏南【やないあなん】。
時人の通う私立学園は、
2クラスのみ。
そのためクラス名簿といっても学年全員の名前・保護者名・
住所が載っている。
学園は「相応の収入がある家ばかりだから」と個人情報を隠さない方針。
それがあたしにとってラッキーだ。
杏南は、
時人にラブレターを寄越した女の1人。
あたしは文庫本を取り出して、
近くの公園のベンチに座った。
大学や高校も沢山ある地域。
学生やら幼児やら、
また年配者などが散歩をしている。
皆朗らかに平日の午後らしくのんびりしている。
―――居た。
帰ってきた…………
杏南は学校指定のバッグを背負い、
制服からスラリと白く形の良い脚を伸ばして歩いていた。
あたしは立ち上がり近づく。
あたかも休日に趣味の読書をしつつ歩いている20代男子のように。
俯かず、
堂々と胸を張る。