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凍える月~吉之助の恋~
第7章 第三話 【初戀】 一
陽太は店でも評判の働き者だったから、京屋の主人も全面的に信用していた。今日日(きょうび)、珍しいほど真面目で陰ひなたのない子どもだと、あの手厳しい主人が手放しで誉めていたと評判だったらしい。よくき気も付くし、読み書き算盤もできる。うまく育てれば、良い商人になるに違いないと陽太を高く評価していたのだ。
それゆえ、市兵衛は陽太を呼んで、問い質したらしい。
―お前が店の金に手を付けるとは、よくよくの事情があったのだろう。おとっつぁんやおっかさんの具合でも悪いのか?
市兵衛にしてみれば、親を医者に診せる金欲しさに陽太がやむなく店の金に手を付けたのではないかと推量したのだ。
それゆえ、市兵衛は陽太を呼んで、問い質したらしい。
―お前が店の金に手を付けるとは、よくよくの事情があったのだろう。おとっつぁんやおっかさんの具合でも悪いのか?
市兵衛にしてみれば、親を医者に診せる金欲しさに陽太がやむなく店の金に手を付けたのではないかと推量したのだ。