この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
凍える月~吉之助の恋~
第7章 第三話 【初戀】 一
「あの子はどんなことがあっても、盗みをするような子じゃない」
いつだったか、やはり寒い冬の日、陽太が木戸番の冨松から焼き芋を貰ったことがあった。その時、陽太は一緒にいた年下の子どもたちにその芋を分けてやった。小さな芋一個を数人で分けるのだ。一人の取り分は知れている。陽太は自分は食べないで、小さな子たちに貰った芋を全部やってしまった。
陽太は、いつだって、そんな子だったのだ。両親の太吉やおみのが根っからのお人好しなように、自分は食べなくても幼い子に食べさせてやるような優しい気性の子なのだ。
いつだったか、やはり寒い冬の日、陽太が木戸番の冨松から焼き芋を貰ったことがあった。その時、陽太は一緒にいた年下の子どもたちにその芋を分けてやった。小さな芋一個を数人で分けるのだ。一人の取り分は知れている。陽太は自分は食べないで、小さな子たちに貰った芋を全部やってしまった。
陽太は、いつだって、そんな子だったのだ。両親の太吉やおみのが根っからのお人好しなように、自分は食べなくても幼い子に食べさせてやるような優しい気性の子なのだ。