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第7章 第三話　【初戀】　一

「俺も陽太のことをよくは知らねえが、お前から聞く陽太の話からすりゃあ、陽太が店の金を盗んだってえのは何かの間違いじゃないかと思うんだが」
　伊八が吐息をついた。
　お絹は何故、陽太がお絹を見て逃げたか、漸くその理由を知った。自分がやってもいない盗みの疑いをかけられ、子どもなりにお絹に合わせる顔がないと思ってしまったのだろう。そんな陽太の心根が哀れだった。
　お絹は暗澹たる気持ちで、陽太の心に想いを馳せた。