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凍える月~吉之助の恋~
第10章 第四話 【はまなすの子守唄】 一
その夜、甚平店は深い憂愁に沈んだ。夜になって、疲れているだろうからと人々が気を利かせてくれ、お絹と伊八は家で待機することになった。何かあったらすぐに知らせが入ることになり、他の住人は近隣の者にも声をかけて捜索隊を組んでお彩を探し続けてくれている。
「お前さん、ごめんなさい」
お絹は消え入るような声で言った。行灯のほの暗い光が伊八の横顔を照らしていた。陰影のせいか、伊八の顔の輪郭がいつになく鋭角的に見え、それが彼を随分とやつれさせていた。
「本当にごめんなさい。お前さんの留守にお彩があんなことになっちまって、どう詫びて良いのか判らない」
「お前さん、ごめんなさい」
お絹は消え入るような声で言った。行灯のほの暗い光が伊八の横顔を照らしていた。陰影のせいか、伊八の顔の輪郭がいつになく鋭角的に見え、それが彼を随分とやつれさせていた。
「本当にごめんなさい。お前さんの留守にお彩があんなことになっちまって、どう詫びて良いのか判らない」