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凍える月~吉之助の恋~
第10章 第四話 【はまなすの子守唄】 一
男は裸足のままで草履を突っかけもせぬ伊八の足許をちらりと見、ひと息に言った。
「あっしは桶職人をやっている留七という者(もん)です」
留七と名乗る男は逡巡した様子を見せ、深い息を吐いた。
「あっしの女房の―、いや、女房だった女がもしかしたら、お前さんところの子どもを連れていっちまったかもしれねえ」
その言葉に伊八の形相が変わった。
「なに、手前(てめぇ)の女房がお彩を連れていった!?たった今、そう抜かしやがったか」
伊八は荒々しい態度でいきなり男の胸倉を掴み上げた。
「違う、今は女房じゃねえ、だから女房だった女だと―」
「あっしは桶職人をやっている留七という者(もん)です」
留七と名乗る男は逡巡した様子を見せ、深い息を吐いた。
「あっしの女房の―、いや、女房だった女がもしかしたら、お前さんところの子どもを連れていっちまったかもしれねえ」
その言葉に伊八の形相が変わった。
「なに、手前(てめぇ)の女房がお彩を連れていった!?たった今、そう抜かしやがったか」
伊八は荒々しい態度でいきなり男の胸倉を掴み上げた。
「違う、今は女房じゃねえ、だから女房だった女だと―」