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凍える月~吉之助の恋~
第11章 第四話 【はまなすの子守唄】 其の参
伊八の顔は先刻までと変わり、不吉な鋭さを増していた。
「俺は絶対に許さねえ。お彩とお前は俺にとって心の支えなんだ。もし、あいつに何かあったら、たとえ、お縞がお彩の実の父親の姉だからって、容赦はしねえ」
伊八は低い声で呟いた。
伊八がふいに見せた烈しさに、お絹は思わず眼をつぶる。沈黙が落ちた。しばらく後、ゆっくりと瞼を持ち上げたお絹の眼に先刻と同じ姿勢のまま薄い闇を見つめている伊八の姿が映った。
その瞳は何を考えているのか、いつもの伊八らしくない暗い光を湛えていた。
―お彩、今、どこにいるの? お願いだから、必ず無事に帰ってくるのよ。
「俺は絶対に許さねえ。お彩とお前は俺にとって心の支えなんだ。もし、あいつに何かあったら、たとえ、お縞がお彩の実の父親の姉だからって、容赦はしねえ」
伊八は低い声で呟いた。
伊八がふいに見せた烈しさに、お絹は思わず眼をつぶる。沈黙が落ちた。しばらく後、ゆっくりと瞼を持ち上げたお絹の眼に先刻と同じ姿勢のまま薄い闇を見つめている伊八の姿が映った。
その瞳は何を考えているのか、いつもの伊八らしくない暗い光を湛えていた。
―お彩、今、どこにいるの? お願いだから、必ず無事に帰ってくるのよ。