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凍える月~吉之助の恋~
第11章 第四話 【はまなすの子守唄】 其の参
「―あの人がそんなことを言ったの?」
お縞の問いかけに、お絹は夢中で頷いた。
「本当です。お縞さんが戻ってくるまで、ずっと待つって言いなすってました」
「相も変わらず馬鹿な男だね」
お縞が呟く。
そして、初めて気付いたというようにお絹を見た。永遠とも思われるかのような沈黙の後、お縞は言った。
「あんた、吉之助をどう思ってたの」
刹那、お絹は言葉を失った。
傍らには伊八がいる。それに、お絹自身、自分の吉之助に対する気持ちをどのように形容して良いものやら判らなかった。
「弟はあんたやこの子を庇って、むざむざ生命を落としたんだ。可哀想な子だよ、いくら惚れてるからって、そこまでしなくても良かったろうに。吉之助は結局、無駄死にさ」
お縞の美しい貌が泣きそうに歪む。
お縞の問いかけに、お絹は夢中で頷いた。
「本当です。お縞さんが戻ってくるまで、ずっと待つって言いなすってました」
「相も変わらず馬鹿な男だね」
お縞が呟く。
そして、初めて気付いたというようにお絹を見た。永遠とも思われるかのような沈黙の後、お縞は言った。
「あんた、吉之助をどう思ってたの」
刹那、お絹は言葉を失った。
傍らには伊八がいる。それに、お絹自身、自分の吉之助に対する気持ちをどのように形容して良いものやら判らなかった。
「弟はあんたやこの子を庇って、むざむざ生命を落としたんだ。可哀想な子だよ、いくら惚れてるからって、そこまでしなくても良かったろうに。吉之助は結局、無駄死にさ」
お縞の美しい貌が泣きそうに歪む。