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凍える月~吉之助の恋~
第13章 第五話 【雪うさぎ】 弐
―この二人に二度と同じ過ちをさせてはならない!
お絹は強く思った。
「先生、今、ここで奥様をお一人で行かせてしまったら、もう二度と逢えないかもしれないんですよ? 先生は、それでも良いんですか!?」
一度は切れたはずの糸が実はずっと十年もの間つながっていて、今この瞬間に再び交わったのだ。その縁(えにし)の糸を大切にして欲しいと思わずにはおられなかった。
「奥様は明日、国にお帰りになるとおっしゃってました」
「―里絵」
拓馬が突如として叫んだ。お絹が言い終わる前に、拓馬はもう長屋を飛び出していた。
お絹は強く思った。
「先生、今、ここで奥様をお一人で行かせてしまったら、もう二度と逢えないかもしれないんですよ? 先生は、それでも良いんですか!?」
一度は切れたはずの糸が実はずっと十年もの間つながっていて、今この瞬間に再び交わったのだ。その縁(えにし)の糸を大切にして欲しいと思わずにはおられなかった。
「奥様は明日、国にお帰りになるとおっしゃってました」
「―里絵」
拓馬が突如として叫んだ。お絹が言い終わる前に、拓馬はもう長屋を飛び出していた。