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凍える月~吉之助の恋~
第16章 第七話 【辻堂】 一
しばらくそのままの体勢でお彩を抱いていた母がぽつりと言った。
「年端のゆかないお前を心配させちまったりして、悪かったね。実はお前に一度は見せておきたい場所があるのさ」
そのときの母の声は常になく元気がなかったように思え、お彩は弾かれたように顔を上げ母を見つめた。
「ごめんなさい、おっかさん。私の方こそ、おっかさんに変なことを言って、つっかかったりして」
お絹は笑って首を振った。
「良いんだよ。いつものお前が本当に素直で良い子なことは判ってるんだもの。ちゃんとした理由(わけ)も言わずに旅に出ようなんて急に言い出した私が悪いのさ」
「年端のゆかないお前を心配させちまったりして、悪かったね。実はお前に一度は見せておきたい場所があるのさ」
そのときの母の声は常になく元気がなかったように思え、お彩は弾かれたように顔を上げ母を見つめた。
「ごめんなさい、おっかさん。私の方こそ、おっかさんに変なことを言って、つっかかったりして」
お絹は笑って首を振った。
「良いんだよ。いつものお前が本当に素直で良い子なことは判ってるんだもの。ちゃんとした理由(わけ)も言わずに旅に出ようなんて急に言い出した私が悪いのさ」