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水流金魚
第3章 溺れる金魚

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次の日。子ども達を旦那に預けて家を出た。ミキと一緒に行くと言った。ミキは溜め息を吐きつつも口裏を合わせてくれた。私はあの時、あんなに酷いことを言ったのに協力してくれている。優祐さんは奥さんに出張だと言ったそうだ。
待ち合わせの新大阪駅に着くと、白のシャツに黒の羽織りに黒のズボン姿の優祐さんがいた。
「お待たせ!」
「ううん、全然! ニヤニヤしてどうしたの?」
「優祐さんの私服姿レアだなって。いつもスーツだから。案外、お洒落ですし」
「ありがと。花のヒール姿も普段と違って可愛いよ」
可愛い。その言葉を言われるとドキッとしてしまう。やっぱりそういう何気ない一言が嬉しいと感じてしまう。今日は精一杯楽しもう。そう思うのに頭から離れないのは――。

