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水流金魚
第3章 溺れる金魚
「どうしたの?」
「ううん、何でもない。ほら、新幹線の時間、遅れちゃうよ」
何でもない振りをして笑った。私達は、東京行きの新幹線に乗り込んだ――。隣に座って笑い合って、今日だけは普通の恋人同士でいよう。
「優祐さん」
「ん?」
「今日は、花のことだけ考えてね」
「も~。流石に照れるね」
新幹線が出発して、見慣れた景色が遠ざかった。今から二人きり、誰も知らない場所に行ける。なのに、ほら、また……。隣にいても切ないのはどうしてだろう。本当はもう分かっている。だから私は――。
「ううん、何でもない。ほら、新幹線の時間、遅れちゃうよ」
何でもない振りをして笑った。私達は、東京行きの新幹線に乗り込んだ――。隣に座って笑い合って、今日だけは普通の恋人同士でいよう。
「優祐さん」
「ん?」
「今日は、花のことだけ考えてね」
「も~。流石に照れるね」
新幹線が出発して、見慣れた景色が遠ざかった。今から二人きり、誰も知らない場所に行ける。なのに、ほら、また……。隣にいても切ないのはどうしてだろう。本当はもう分かっている。だから私は――。