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水流金魚
第3章 溺れる金魚
***
「そういう洋服好きなの?」
「昔ね」
高校生の頃に行った原宿の竹下通り。あの頃はロリィタにハマったばかりで父親とはしゃいだ。今はもう着なくなったピンクのフリフリの洋服。
「試着してみる?」
「いや、いいよー。もう似合わない」
「そっかぁ。残念!」
本当は着たい。けれど……。
付き合いたての頃、翔ちゃんだって可愛いって言ってくれてロリィタ姿でデートをしたりもした。けれど、それはいつしか……。
「いつまでそんな子どもみたいな格好をするんだ」
「似合わない」
「年齢を考えろ」
そんな辛辣な言葉を投げかけられるようになった。
「お姉さん、お洋服はね、似合うとか似合わないじゃないんだよ。自分が袖を通して幸せな気持ちになれるかどうかなんだよ」
「えっ?」
俯いた顔を上げるとそこにはとても可愛らしい女の子。全身ピンクで、それなのに絵本から飛び出てきたような。お姫様って言葉はこの子の為にあるんじゃないかってくらいに。でもどこかで見たことがある。