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水流金魚
第3章 溺れる金魚
「花さん」

 ミキは私の背中をさすってくれた。駅を出て止まっていた一台の赤の車に乗り込んだ。

「お待たせ」

「全然」

「とりあえず、和泉のほうまで行って」

「了解」

「日曜日だからさ、彼に車出してもらったの」

「ありがとうございます」

「いえいえ」

 ミキの幼なじみである彼は銀縁の眼鏡をかけた真面目そうな人だ。話に聞いていた通りって感じでなんだか安心した。

 暫く背中をさすって貰っていると落ち着いてきた。

「なんか、あの時のミキに似てるね」

「ちょっ、透!」

 ポツリと呟いたミキの彼の言葉に確かにそうかもしれないと思った。あの時の私が言ったそんなの幻想なんだって言葉。それこそ相手のことを考えない自分勝手なことだったと今なら分かる。

 家に着く頃には完全に落ち着いていた。
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