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水流金魚
第3章 溺れる金魚
***
次の日、何もなかったかのように私達は笑った。
帰りの新幹線。新大阪駅に着くギリギリまで手を繋いだ。新幹線を降りると口裏合わせに付き合ってくれたミキがいた。
「ありがとう」
「こちらこそ」
「じゃあ、さよなら」
「あぁ、元気で」
若い頃のように、今日で最後にしようなんてお互い口にはしなかったけれど、お互いに分かっていた。今までしたことのなかった旅行。たくさんのサプライズ。優祐さんなりに色々考えてくれていたことだけは分かった。優祐さんが立ち去ると抑えきれないものが溢れ出す。