この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
水流金魚
第4章 金魚の涙
咲ちゃんの家には行かず、近くのホテルで車を降りて、部屋に入る。
「咲ちゃん、抱いて」
「ごめん、これで我慢して。泣いている人と出来るほど大人じゃないから」
咲ちゃんは私を優しく抱きしめ、背中をさすってくれる。
「好きだよ」
「うん」
「うんじゃなくて」
「……ごめんね」
困らせたいわけじゃないのにどうしてこんなことを言ってしまうんだろう。咲ちゃんのことを好きになればなるほど苦しい。本当は好きになんてなってはいけない。優しさに甘えてはいけない。そんなこと分かっているのに気持ちが止められない。涙色に染まる心。恋。ずっと雨の中にいるような、晴れない気分。優しくされればされるほど苦しくなる。明日、笑えるのだろうか。ううん、きっと難しい。ちらりと見えた咲ちゃんのスマートフォンにはパスロックがかかっていた。
「咲ちゃん、抱いて」
「ごめん、これで我慢して。泣いている人と出来るほど大人じゃないから」
咲ちゃんは私を優しく抱きしめ、背中をさすってくれる。
「好きだよ」
「うん」
「うんじゃなくて」
「……ごめんね」
困らせたいわけじゃないのにどうしてこんなことを言ってしまうんだろう。咲ちゃんのことを好きになればなるほど苦しい。本当は好きになんてなってはいけない。優しさに甘えてはいけない。そんなこと分かっているのに気持ちが止められない。涙色に染まる心。恋。ずっと雨の中にいるような、晴れない気分。優しくされればされるほど苦しくなる。明日、笑えるのだろうか。ううん、きっと難しい。ちらりと見えた咲ちゃんのスマートフォンにはパスロックがかかっていた。