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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第2章 "神"


我が一族だ、拒否反応を起こされて良い気分な訳があるまい

即死ならばまだ良い、何も分からずなのだから

問題は力に耐えきれず自我が崩壊した時だ、苦しみ抜き暴走する‥そんな一族をこの手に掛けるのも朱雀である我の責務

やはり気分の良いものでは無い・・・


漠然と考えている間にも一族の男共は1人また1人と我の中に入り力を置き力を分ける

女でも同じ事、我の上で熱を受け入れ力を置き力を分ける


それに体も感情も快楽も一切無い、ただの"儀式"力の交換‥それだけの事、だからこそ好きでは無い…


(…そう‥あ奴め…)


頭に浮かぶのは我が共同体、我と同じ炎に属する神であり、我と契約をし我が体と共にある者

本来神とは意識ある精神体であり実体は無い
四神が特別であり、また四神と契約すれば仮初めながらでも肉体を持つ事が出来る

神は自由奔放で気紛れ、あ奴も例に漏れず我が体内で眠っているかと思うたら突然姿を表したりもする

その共同体がまた曲者で我に快楽を教え込もうとあの手この手で我を翻弄し……確かに多少は快楽というものを理解は出来た、だがあ奴の言う"本当の快楽"というのは理解出来ない

幼き頃より"儀式"としてしか捉えていなかったこの行為に"本当"などというものがあるのだろうか…

神であり朱雀である我に理解出来る事とも思えぬ・・・



うっかりと思案の中に居たせいか"儀式"は最後の6人目が終わり、男共は室内から退室してゆく…

別に変わった事ではない、"儀式"が終われば普通の事、後の後始末の為にも男共はそそくさと退散するのが習わしの1つ



「主上・・・」

「・・・優衣、もう一度湯浴みの支度をせい」

「御意」

男共の欲望が残る体、不服とは言わんが湯で流さなければ何も出来ないのは確か…

コツンと煙管の火種を落とし湯浴みへとソファーから立ち上がる、"儀式"用の薄絹に乱れは無い脱がす事すら禁じられている為だ

神の肌を見る事無く薄明かりだけでの交わり
孤高の神朱雀としての矜持なのか、一度に多数を相手する為なのか、先代の作った式たり教典は我には理解し難い所もあるが一々変える気も無い



(やはり水に合わんのう…)


風呂の中で考えるのは我本来のやり方で力の補給をするのが一番良いという事、その為には・・・・・
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