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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第2章 "神"
「優衣、"時渡り"をする」
突然の朱雀の話しに優衣は目を丸くする
「しかし主上、まだお力の回復が…」
あの程度で力を使い過ぎてるとは思わないが、多少なりとも消耗しているのは確か…
優衣は止めなければと必死に言葉を探す。
「せめてもう一度"儀式"の後にでも…」
「だからだ、大した力は使っておらぬからの、今のうちに"時渡り"をして力の回復をした方が早い」
やはり"裏の儀式"が嫌なのだ、一族の男とは言っても男は男‥女もだが…
何の感情も無く交わるのがほとほと嫌な気分にさせる。
"神"だからと言って感情がまるっきり無い訳では無い、感情を隠しているだけである
『理想の朱雀像』
人々が勝手に作り上げた、こうではならないという幻、仕方なく代々の四神は無表情で高圧的な物言いをするようになった
「"時渡り"…」
優衣の口から小さなため息が聴こえる。
「我の特権であろう?」
微かに笑う朱雀
"時渡り"
これも公になっていない朱雀の能力の1つ
時空を制し、過去に行ける能力、代々の朱雀でもほんの数人しか"時渡り"を使えなかった。
普通は"過去見"のみ
しかし当代は"時渡り"が使える、それだけ力が強いと言う事になる。
因みに
朱雀は炎"過去"過去を司る
青龍は水"未来"未来を司る
白虎は風"遠見"どこまでも先の場所を見、司る
玄武は大地"道見"道は血に値し、人の体、医療を司る
自然の管理者にして、歴史の監視者、それが四神である。
「止めても無駄・・・ですね、準備致します。」
優衣はそう言い、部屋にある棚や引き出しなどから色々取り出す。
止める気が無い事も分かり、朱雀も時空に留めている宝剣を引き出した。
式典の儀式に使用した金色の太刀である。
それを愛おしそうに手にする、我の愛刀、朱雀の証、名を
『朱桜刀(すおうとう)』と言う。
この太刀自体かなりの力を秘め、代々朱雀に受け継がれている。
何百年、何千年も経っても切れ味が落ちる事も錆びる事も無い刀、人から見れば妖刀と呼ばれるかもしれない。
「主上」
朱桜刀を見ていた朱雀に優衣は袋を持って戻って来た…
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