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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第10章 "恋"
山崎に付いて行き、不逞浪士が潜んでいる路地の近くに身を隠す…
「ひい・ふう・みい・…
十一人居ますねぇー」
「先生、十二ですよ
上に忍が居ます」
コソコソと小声で話す二人。
「分かりました…
橘さんは向こうに回りこんで下さい」
「了解…」
すぐさま消える瑠衣…
最近は"神足"もよく使う。
(さて…行きますか…)
総司ゆっくりと物陰から出、浪士達の前に現れた。
「あなた達、そこで何をしているのですか?」
一斉に総司の方を見る浪士達、今まで気配すら無かった筈の場所に細身の男が立っている。
「何だお前は?」
「我等の話を聞いたのか!?」
「気にするな、相手は一人だ殺やっちまえ!!」
次々に殺気立つ浪士達
組の隊服を着ていればもう少し話は簡単なのだが、そうも言っていられない。
「その訛り長州ですか…
では、相手をしなければいけませんねー」
その途端、身を凍らせるような殺気と共に刀を引き抜く…
「なっな…」
「ただ者じゃ無い・・・」
浪士達の狼狽は隠せない。
「えぇい!!
此方の方が有利なんだ、集団で行けっ!!」
浪士達の頭らしい人物が回りに葉っぱ掛ける…
その言葉に一斉に総司に飛び掛かった。
『ザシュ…ザシュ…』
始めに対峙した浪士を一刀のもとに斬り捨て、その後ろの浪士の首をはねる…。
そのあまりにの強さに腰が引け、顔色を青くする浪士達。
「くすくす…後十…」
口端を上げ楽しそうに刀を振り血を落とす…
「ば…化け物!!」
此処から逃げようと、開いている道に走る数人の浪士だが…
『ザシュ…ヒュン…ザシュ』
一瞬にして逃げ出した三人の浪士は斬られ倒れた…
その血溜まりの中から瑠衣が現れたのだ…
「やだなぁ…
せっかく相手してやってるのに逃げ出すなんて卑怯ですよ?」
瑠衣は笑いながら話す。
「遅いですよぉ橘さん」
「あー
何だか沖田先生一人の方が落ち着きそうだったので…」
"沖田…"
そう聞いた途端浪士の一人が叫ぶ。
「壬生浪の人斬りかぁぁっ!!」
「な…仲間の恨み!!」
次々と二人に掛かって行く‥が!!
『ザシュ…ドカッ…ザシュ…』
そんな浪士を冷静に斬り捨てる総司…
その目は無表情…
瑠衣の方にも浪士が切り掛かる。
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