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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第10章 "恋"


「もう知りませんっ!!
寝ます!!」

総司はむくれて瑠衣を背にし、寝始めてしまう。


(やりすぎたかな??)


そろそろ笑いも収まり、大きな息を吐く…
暫く様子を見ていると、総司の寝息が聴こえて来た。


(始めの頃より気を許してるなぁ…)


最初は自分がこんな風に起きていたら絶対寝なかった…
そう言う自分も総司に気を許してる節は多分にあるが…


(お互い様かな?)


そう思い、日課となった力を総司に向け放つ・・・

完全に睡眠状態なのを確認し、何時ものようにそっと口付ける…。

「・・・・・・・」

…複雑な顔の瑠衣。


(後どれだけ‥こうして居られるのだろう…)


らしくない考えだと分かっているが、つい考えてしまう。


(…どうしたんだ自分??)


総司との口付けは嫌じゃ無い、それは前にも思った…
だが、今はそれが時々嬉しいような感情があるのは何故だろう?

考えが変な方向に行きそうなのを振り切り、瑠衣はそっと部屋を後にした。



今は山崎は居ない、監察方もかなり出払っている…
瑠衣は一気に屋根の上に飛び上がった。


「…瑠璃…」

小さな声で一言…


((お呼びですか、瑠衣様))


瑠璃が瑠衣の前にふわりと姿を現した。

「うん、聞きたい事があってね」


((なんでしょうか?))


「今"鬼"を殺ってるけど、瑠璃並の"鬼"には出くわしてない、一体上級の"鬼"はどうしているの? 数は多いの??」

今まで退治した"鬼"は全て低級、瑠璃みたいな上級には一度も会ってない。


((数はそんなには多くありません、せいぜい百か二百程度だと思います…
それに私のように眠っている者も多いのです…
でなければ様子を見ているのでしょう…
上級は人間をそんなに襲いませんし、その必要もありませんから…))


「必要無い??」


((低俗な"鬼"は人間から力を得ています…
要は誰でも良いのです…
しかし上級は力もあり人間を餌にする必要がありません、だから襲わないのです…
それに矜持も高いですから他の言う事など耳も貸しません))


「なる程…だから低級しか出て来ない訳か…
じゃあ質問を変えるね…
瑠璃が捕まったのって"鬼"?」


((・・・・・・・・・・いえ、人間でした…))


その答えに瑠衣は意外な顔をする。
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