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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第10章 "恋"


土方の自室兼執務室ー


今日も書類の山に埋もれ仕事に追われている土方…

気休めの煙草の煙が部屋中に充満しているのは何時もの光景…


『ドタドタドタドタドタドタ』


そんな中物凄い足音が此方の方向に向かってくる、ドンドン迫って来る大きな音はこの部屋の前でピタリと止まった・・・


 『バンッ!!』


声も掛けられず自室の障子がこれでもかというように開く…
そこには息を切らした総司が立っていた。


「煩せぇぞ総司!!
障子ぐらい静かに開けろやっ!!」

不機嫌丸出しの土方、まぁ此処までされたら当たり前な話である。


「土方さんっ!!」

部屋の中央にドカリと座り、土方を凝視している総司…


(なんだぁ?
仕事の話じゃ…ねぇな…)


そう思うと総司の方には振り返らず、筆を進める手を休めない。

「どうした総司…
暇だったら稽古でもつけてやれ…」

そっけない態度である…
それが後で悲劇を招くとも思わず・・・・・・・

「あー
何て言ったら良いのでしょうか…
とにかく相談があるのです」

「相談?
金子なら貸さねぇぞ…
おめぇに渡すと全部甘味にされちまう」

「違いますよぉー」

心外だと言わんばかりに頬を膨らまして言う総司。

「じゃあ何だ??」

甘味以外に個人的相談なんて此奴にはあるのか?

「えっとーそのー・・・」

珍しく歯切れが悪い、どう言って良いか分からないそんな感じだが‥何時もの総司らしくないのは確からしい…

「何だ、俺は忙しいんだ、用ならさっさとすませろっ!」

この糞忙しい時に、もじもじとしている総司に段々苛々が募って来る。

暫くして腹を括ったのか、土方をはっきり見て(後ろ姿だが…)言葉を紡ぎ出した。


「土方さん、女の人を見てドキドキした事ありますか?」

「・・・はぁぁー!?!?」

予想外の総司の言葉に、書いていた書類に筆を落としてしまう…
土方も流石に総司の方に向き直おった……

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