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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第10章 "恋"
「だから…
土方さんは女の方を見て………」
「ちょっと待て総司…」
総司の言葉を慌てて止める…
「おめぇから女の話が出るとは思わなかった・・・」
土方の正直な感想である、奥手の総司から女の話なぞ一生聞く事は無いと思っていた。
「失礼ですね土方さん、私にだってそういう事くらいありますっ!!」
「いや…無いと思っていた」
「・・・・・・・・・」
此にはがっくりうなだれる総司…
「あぁ、言い方が悪かったよ、で、何処の女だ?
お前に限って島原では無さそうだし…」
「島原なんか行きません!!」
「なら何処で知り合ったんだぁ??
最近は夜番しかしてねーだろお前…」
「それは…その…
土方さんには秘密ですっ!!」
「秘密って…おぃっ…」
「とにかく、女の人を見てドキドキした事ありますか?」
総司に取ってみたら至極真面目な質問である。
(ドキドキってなぁー餓鬼じゃねぇんだし…
あぁ、此奴はそっちの方は餓鬼か…)
もう呆れ半分兄代わりのお節介半分って所で、土方は真面目に総司の話を聞く事にした。
「で?
お前はその女を見たらドキドキするって言いてぇんだろ?」
「ドキドキと言うか、嬉しいと言うか、兎に角自分じゃ無い感じです…
私どうしちゃったのですかねぇー」
(自覚無しかよ…)
休憩序でに煙管に火を点け一口吹かす…
「何だ…
その女を見てると高揚感があって嬉しくなって、もっと一緒に居たいと思ったり、他の男と話していただけでムカムカする、そう言いたいんだろ?」
「そう、それです!!」
他の男と話どころが霰もない姿を見てしまったが、此処で土方には言わない方が賢明と思って敢えて避ける。
「恋だな…」
土方が一言…。
「鯉??」
総司は庭の池を指差して首を傾げている。
「それは魚の鯉だっ!!
俺が言ってるのは色恋の恋の方だっ!!
こんな所でボケるなっ!!」
「恋・・・ですか??」
総司はきょとんとした目で土方を見ている。
「ドキドキしたり嬉しくなるのは、その女が好きだからだ、逆に他の男と居ると苛々するのは好きだからこその嫉妬だっ!!」
土方は総司に向かって一気にまくし立てた…
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