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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第10章 "恋"


小さく返事をする総司。


(大丈夫かよ…)


自覚はしたが言い出す勇気が無いと言った所か…

「女は押しに弱いからなぁー
押して押して押しまくれ…」

「土方さんと一緒にしないで下さい…」

「何だよ、人が親切心で言ってやってるのによ」

「奉公先で腹ました人と一緒にされたく無いです」

「お…おまっ…
どうしてそれを知ってるっ!?」

焦る土方、その過去話は近藤さんと源さんしか知らない筈…

「近藤さんが酒の席で言ってました」

土方を真似てニヤリと笑う総司…勿論先程の半無視された意趣返し…
土方の方は顔色がどんどん青くなっていく。


「ちっ…
近藤さんめ余計な事を…」

「あっ、その後奉公先から追い出されたのも聞きました」

更に追い討ちとばかりに連続爆弾を投下する。

「・・・・・・・・・・」

もう、何も言わない言えない土方…
総司の形勢逆転である。

「そう言えばまだありましたよねぇー土方さん?」

「待てっ総司もういいっ!!」

これ以上過去を暴露されるのは勘弁して欲しい、土方は切実に願う。


「そっ…
そう言えば、最近島原に月詠って言う天神が居るのを知ってるか?」

なんとか話題を逸らそうと全く別の‥島原の話に持って行く。

「月詠??
私、島原は苦手ですので…」

「相変わらず苦手か…
それがな、絶世の美女で学も芸も確か、更に床上手ときたぁ…そんな女、一度会ってみたいもんだ」

「・・・はぁー
また土方さんの女好きが始まりましたか?」

呆れ顔で土方を見る…
確か君菊とか言う遊女と懇意にしてたはず…
その他多数だが……


「いやな、"こっち"に引き込めないかと思ってな」

土方は意味深な顔でニヤリと笑う。

「間者ですか…」

急だが真面目な話に総司の顔も先程とは打って変わったように引き締まる。

「あぁ…
頭が回る女…打ってつけだろ?」

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