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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第11章 "遊"


「・・・
彼奴ら・・・」

言うに事欠いて一人置いてけぼり、この後どうすれと??

「良いやないどすか…
折角の二人きりなさかい楽しみましょう土方はん……」

「あ‥あぁ……」

華因としては、瑠衣がわざわざお膳立てして置いて行ってくれた美味しそうな餌を、みすみす逃す手は無いと思っている

土方には強い力がある‥
餌には最高の人材だ、向こうが此方を手伝えと言うのなら、此方も少々力を頂いても文句は無いだろう。


「さぁもう一献どうですかぇ?」

土方に枝垂れ掛かり徳利を持ちにこやかにお酌をする…

それに土方も満更ではない様子、元々島原でとやかく噂を聞く土方だ、多少の色仕掛けで直ぐ落ちると思う……


「ほぅ?
彼奴らが帰った途端遊女らしくなったもんだ」

「いややわ…
うちは初めから遊女どす、此処は島原なさかい遊女がお客はんにする事は一つしか無いどす…」

「そうだな…」

土方は枝垂れ掛かる月詠の肩をグッと抱き締める…

「思ったより華奢な体だな…
遊女ってーのは綺麗に着飾っているから、いまいち体の細さが分からねぇ」

「クスッ…
土方はんは外見よりも中身の人みたいどすなぁ
でもうちはそういうのは嫌いじゃありまへんで、結局此処は脱いでなんぼの世界や…」

「益々面白いな…
俺もお前と同意見だ、酌だけなら呑み屋でも行けは良い、だが此処は島原だろ?」

疑問符と一緒に月詠の目を見れば、ニコリと笑い返され…

「へえ…
よう分かっております」

土方の言葉の意味を月詠はしっかり理解している、杯の酒を飲みきり杯をお膳に置いた途端、手を取り奥へと歩き出す月詠‥土方も逆らわず手を引かれる儘に奥へと入った・・・

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