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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第11章 "遊"

話は少し戻り-
島原を抜け、人気の無いあぜ道を屯所に向かって歩く総司と瑠衣。
「結局置いてきちゃいましたね」
瑠衣は土方の多少慌てた姿を思い出しケラケラ笑っている…
確信犯で土方を置いて来たのは総司には秘密だ。
「土方さんの事ですから大丈夫でしょう」
そんな瑠衣に総司もつられて笑い出す。
「それにしても橘さん、あの人とお知り合いだったのなら、言ってくだされば良かったのにー」
「身の安全が保証出来ないのに、知り合いとバラしますか普通?」
「まぁ……
そうですよね、土方さんの事ですから何をするか予測が付きませんから…」
「えぇ、その通りです…
最悪使い捨てなんて事になったら月詠ちゃんに合わす顔が無いです」
総司が持って歩いている提灯の灯りが二人を仄かに照らす。
「月詠さんは橘さんの事を女子と知っているのですか?」
島原からずっと思ったままの素朴な疑問を瑠衣に投げ掛けて見る…
「知ってますよ…
自分だって子供の頃からこんな姿じゃありませんし…」
「それもそうですね、すみません変な質問で…」
「いえ、そう思われてもおかしくは無いですから…」
そう言いまたケラケラと笑う…
そんな瑠衣の横顔をチラリと見る総司
提灯の灯りに照らされて、なんとも不思議な‥男とも女子とも取れない中性的な感じだ。
「橘さんと月詠さんって、やんちゃだってのですか?」
「はいっ??」
総司の質問の意味がよく理解出来ないのだが?
「ほら先程‥江戸の街を走って遊んだと言ってましたでしょう、男の子なら兎も角、女の子が走って遊んだって…」
「・・・あぁ!!
活発だったのは確かですね、殆ど自分が月詠ちゃんを振り回してたと言う方が正解かも知れませんが…」
「月詠ちゃんって…
ちゃんと本名があるんですよね?」
「ありますが…
それは島原に入ってしまえば捨てる名、言ってはいけないんです…
だから自分も今は月詠としか呼びません」
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