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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第11章 "遊"

「あっ、左之…
あれから月詠に会えましたか??」
にっこり笑って瑠衣は原田に聞いて見る、勿論答えは分かっているのにだ。
「金無いってぇのっ!!
今月の給金貰ったら絶対行ってやる!!」
「ぁはは…
やっぱりですかぁー
左之は給金出たら直ぐに島原で使ってしまいますからねぇー」
総司はまた一本団子を手にしケラケラ笑う。
「お前みたく給金全部甘味になる方が信じられねぇよ」
「全部では無いですよぉー」
「じゃあ何に使ってるんだぁー??」
「秘密です」
原田が縁側に片膝付いて総司に詰め寄る。
「何だよ、勿体ぶらないで教えろよ」
「嫌ですよ」
原田の言葉にも口を割らない。
「瑠衣、分かるか?」
総司が駄目だと分かると今度は瑠衣に詰め寄る。
「無理ですよ…
いくら同室と言っても、個人の内情まで覗く気はありませんので‥」
そろそろかと瑠衣も団子を一本手に取った。
「と…いう事です‥
諦めて下さい左之」
また団子が一本…
「ちえっ…」
団子を一本取って口に咥え、原田は悔しそうに自室の方へと歩いて行った。
「橘さんは左之には呼び捨てなんですね?」
「えぇ…
左之達がそう言えってきかなかったもので…」
「では私も…」
「無理です」
即答・・・・・・・
「そんなぁー!!」
瑠衣のあっさりな一言に、がっくりしている総司。
「無理ですよ、仮にも直属の上司じゃないですか、他の平隊士達に示しが付きません」
「…仮にもって…」
何だか余計にヘコむ。
「言い方が悪かったです…
すみません…」
素直に謝る瑠衣。
「そりゃあ剣の腕も頭の中身も橘さんの方が上ですよ…
分かっています…
私だって…」
だんだんと総司の声が小さくなっていく…
「あぁー!!
本当にすみませんてしたぁー」
此は流石に言い過ぎたと反省はしている。
「じゃあ私も呼び捨てで…」
「それだけは勘弁して下さい」
というより今更無理があると思う。
(慣れ…なんだよなぁ…)
沖田さんとか総司とか何故か呼び難い…
(…変だな…何故なんだろう?)
他の人達なら言える自信があるのに…
例えば…副長を土方さんとか…局長を近藤さんとか…
なのに、目の前のこの男だけは言えないのである。
(簡単な事だろっ!!)
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