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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第12章 "鏡"
本日非番!!
・・・だというのに瑠衣は京の端に向かってトボトボと街中を歩いている。
(やはり気が進まぬ…)
そう‥瑠衣は今、朱雀の外宮を目指して歩いているのである。
(来いと言われて行かない訳にも出来ぬし…
かと言って、あまり会いたくは無い‥)
勿論この間の道場での当代様との一件が気が進まない一番の理由…。
(しかし、行かないとまた乱入されそうだし…)
さも重い足取りで歩みを進めてはいる…
すれ違う街の人々に目も暮れず、歩きながら自分の考えに没頭中・・・
(副長からの預かり物もあるし…面倒だ…)
逃げ出す口実が無いのが痛い…そんな悪循環な考えをしているうちに広大な外宮が見えて来た。
(はぁー腹括るか…)
一度目を閉じ、余計な考えは一切捨てる・・・
暫くしてゆっくりと目を開けた時には、完全無表情無感情な瑠衣がそこに居た。
表宮の門前-
「橘と言います、新撰組からの預かり物をお届けに参りました」
相変わらず門番が瑠衣を睨んでいる、まぁ前の経緯があるので仕方が無いとも言うけど…
「・・・
話は聞いてある、通るが良い」
予想外に門番は今回はすんなりと通してくれる。
(まぁ前が無茶な事したから…)
普通考えられないような無茶な事をしたのだ、門番が自分を覚えていて睨むのも通り、だが話は上の方から伝わっていたのだろう…
今度は堂々と正門を抜け、広大な外の敷地の中を歩み続ける。
(・・・
紅葉が綺麗だな…)
京の都の街外れとは思えない静けさ、色とりどりの樹木、綺麗に配置された道々…
そんな世俗とはかけ離れた独特の空間の中、瑠衣は一人景色を見ながらゆっくり歩く。
表宮の門から表宮そのものまで、ゆうに10分以上掛かる…
表宮ですらそれだけの広大さ、更に外宮全体を合わせると街一つすっぽり入ってしまうだけの広さを誇る。
(屯所が箱庭に思えてくるな…)
そんな呑気な考えをしながら、綺麗に並べられた石の道を歩いて行く
本当に十分位歩いた頃、ようやく表宮の入り口に辿り着いた…
表宮の正門入り口に入ると直ぐ女性‥女官が一人既に自分を待って立って居た。
「お待ちしておりました橘様、主上がお待ちしております、さあ此方へ」
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